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福岡地方裁判所小倉支部 昭和43年(ワ)899号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

<編註> 近藤完爾「執行関係訴訟 全訂版」三三〇頁参照

〔判決理由〕二、本件公正証書に表示された消費貸借契約の成立について判断する。

(一)原、被告間で昭和四三年二月二七日被告を貸主、原告を借主、訴外川下武雄、同松本賀子両名を連帯保証人として金二〇万円の消費貸借契約(以下本件消費貸借という)を結んだことは当事者間に争いがない。<証拠>に弁論の全趣旨を綜合すると、被告は原告に対し元本は昭和四三年二月より同年一一月(とくに乙第一号証の期限の記載参照)まで毎月末日に金二万円宛一〇回に分割して弁済し、利息は月五分の割合で毎月末日に支払うこと、遅延損害金年三割六分との約定で金二〇万円を貸すことにしたが、その際一ケ月分の利息金一万円(この点は当事者間に争いがない)と元本二万円および謝金六、〇〇〇円の名目で合計三万六、〇〇〇円を天引し、現実には原告に対し金一六万四、〇〇〇円しか交付しなかつたこと、原告および連帯保証人両名は被告に対し公正証事作成のための書類(白紙委任状と印鑑証明書等)を交付したが、被告は昭和四三年五月一六日右書類を利用し訴外水田一政を原告らの代理人として本件公正証書の作成を嘱託したこと、右公正証書には利息制限法の制約があるため形式上利息を定めず単に期限後の遅延損害金を年三割六分とし、元本二〇万円に利息合計一〇万円を加算した金三〇万円の貸金額につき、毎月三万円宛一〇回に分割弁済する旨の記載がなされたこと、以上の諸事実を認めることができる。<反証排斤>

右認定事実によれば、本件消費貸借契約が利息制限法に違反していることは明らかで、元本二万円が天引されているので残元本一八万円につき利息一万六、〇〇〇円が天引され、現実に金一六万四、〇〇〇円が交付された場合に利息制限法を適用した範囲で、契約は効力を有すると解すべきである。

従つて、右の事実と吻合しない限度において、本件公正証書は無効といわざるをえない。

(二)また、被告は本件公正証書作成後の昭和四三年七月一二日原告に対し金一〇万円の追加貸付をなし、その際不履行のときは本件公正証書を流用して強制執行を受けても異議ない旨の特約を結んだと主張するが、かりにそうだとしても、右特約は執行法上の効力を生じないものといわなければならない。けだし執行法はとくに厳格な要件の下に執行証書に執行力を付与したものであつて、当事者同志が勝手に債務名義流用の合意を結んだとしても、新たな請求権については要式行為としての執行認諾ありとは認められないからである。従つて、右追加貸付金一〇万円については、被告が別途債務名義を得れば格別、本件公正証書の基本債権とはならない。(三村健治)

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